女性の転職に役立つおすすめ資格7選【元職業訓練講師が解説】
この記事のポイント
  • コロナ禍の女性の転職においては以前より安定した仕事であることが重視されている
  • 安定した仕事に就くためには、資格を取ることは有効
  • 自分に合った資格を見つけることが転職の成功の近道

2020年に起こった新型コロナウィルス感染拡大の影響は、女性の転職にも大きな影響を与えています。

勤務先の業績悪化で失業したり、収入が下がるなど、新しい仕事を探すしかない状況になる人が増えました。

このような状況で転職を成功させるため、資格取得を考える女性も多いことでしょう。

この記事では職業訓練でFP受験講座などの指導をしていた私が、仕事を通じて知った転職に役立つおすすめの資格をご紹介します。

コロナ禍で女性の転職はどう変わったか


出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和2年12月分及び令和2年分)

新型コロナウィルス感染症による生活様式の変化はあらゆる業界に影響を及ぼしました。

業績不振による解雇など、雇用状況の悪化につながるケースも少なくありません。

コロナ禍以前の女性の転職で重視されていたのは、

  • 年収がアップすること
  • ワークライフバランスが取れること
  • キャリアアップできること

などでした。

ところが、コロナで失業したり、勤めている会社がいつどうなるかわからない状況になり、このような意識に変化が起きています。

今、転職を考える女性が求めるポイントは、

  • 経営が安定している事業所であること
  • 在宅ワークができること

などに変わってきました。

このような職場への転職を成功させるために、資格を取ろうと考える人は多いと考えられます。

この機会に一生モノの資格を取得して、希望する仕事や会社への転職を成功させましょう。

この時期の行動が、ピンチをチャンスに変えるかもしれません。

転職を考えたとき、どんな資格を取るべきか

このコロナ禍で安定した職に就きたいと考えた場合、どんな資格を取るべきでしょうか。

ポイントは、

  • 難易度が高すぎず、比較的簡単に取れる
  • その資格を生かせる仕事がある
  • それなりに食べていける収入を得られる
  • つぶしがきいて、食いっぱぐれない
  • 今の仕事からスキルアップできる
  • 長く続けられる仕事に就ける

などです。

それでは、具体的なおすすめ資格をご紹介します。

【おすすめ資格その1】日商簿記

簿記とは、企業で行われる取引を記録し、一会計期間(通常1年)ごとに決算書として整理することです。

簿記の知識は経理の仕事だけでなく、一般のビジネスパーソンも身に付けて損のない知識です。

自社の業績・財務状況・キャッシュフローを把握するだけでなく、取引先の財務内容を分析するなど、さまざまな面において活用できます。

日商簿記検定は、簿記の知識や能力を測る資格の中で最もポピュラーなものです。

日商簿記は転職に役立つの?

日商簿記検定はその知名度から、経理職の求人の際に企業側が採用の判断基準にすることが多い資格です。

日商簿記検定は3級から1級まで3つの級があります。

このうち、1級は経営コンサルティングの領域にまで踏み込むハイレベルな資格で、独学での取得はかなり難しいと言えます。

3級は基礎的な商業簿記、2級は商業簿記に加えて工業簿記も学びます。

一般的に日商簿記2級を持っていると、経理の実践スキルありとみなされ、転職に有利になります。

実際の求人にも「日商簿記2級必須」などの条件があるものも多いので、摂っておきたい資格です。

日商簿記は2級と3級のダブル受験も可能なので、最初から2級合格を目指して勉強するといいでしょう。

日商簿記を取って有利に転職するために

一般企業の経理職や会計事務所への転職は20代後半から30代前半であれば、簿記2級を持っていれば未経験でも採用されるでしょう。

それ以降は、実務経験ありの人を優先的に採用する企業が増える傾向にあります。

経理職を目指す場合、早いうちに簿記2級を取って転職したほうがいいでしょう。

しかし、実務経験があれば転職できる可能性は高くなります。

夫の転勤などで職探しをする場合も実務経験ありなら、仕事が探しやすいです。

【おすすめ資格その2】証券外務員

証券外務員とは、銀行や証券会社などの金融機関で、株式や投資信託などの金融商品の取引をおこなうために必要な資格です。

外務員とは、証券会社や銀行などで金融商品の勧誘をする営業マンのことを言います。

外務員として仕事をするには、金融庁に証券外務員として登録しなければなりません。

が、登録される条件として証券外務員の資格が必要です。

証券外務員資格について

証券外務員の資格には2種と1種の2種類があります。

2種と1種の違いは、扱える金融商品の範囲によるものです。

2種で扱えるのは株式などの現物に限られます。

1種は2種の金融商品プラス信用取引やデリバティブなどのすべての商品の勧誘ができます。

試験の難易度は1種でもそれほど高くなく、合格率は60%台です。

実際の業務でデリバティブなどを取り扱うことがなくても、外務員の仕事に就くなら1種を取得しておきましょう。

証券外務員は転職に役立つの?

証券外務員は金融商品の販売ができるので、役立つ資格であるのは間違いありません。

金融機関の求人は実務経験者の募集が多いのですが、証券外務員1種を持っていれば未経験でも採用される場合もあります。

また外務員だけでなく、金融事務で高時給の派遣の求人もあるので営業職が苦手の人でも役に立つでしょう。

この資格は活躍の場がほぼ金融機関一択になりますので、ファイナンシャルプランナーの資格もあると評価されやすくなります。

【おすすめ資格その3】宅地建物取引士

宅建とは、宅地建物取引業法で定められた国家資格で、正式名称は「宅地建物取引士」です。

一般的には「宅建」「宅建士」という略称で呼ばれています。

主に宅地建物取引業者(不動産会社)で働く従業員を対象としています。

宅建の試験に合格して宅地建物取引士証が交付されると、宅建士としての仕事ができるようになります。

宅地建物取引士の仕事内容

まず、宅地建物取引士には、不動産取引の相手方(買主、借主)などに対する「重要事項の説明」という独占業務があります。

重要事項とは、「対象物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」のことです。

これらを賃貸契約や売買契約を結ぶ前に宅建士が書面に記名押印し、その書面を相手方に交付して口頭で説明をします。

宅建士の有資格者が不動産会社に就職する場合、営業職か事務職で採用されるのが一般的です。

その業務の中に「重要事項の説明」も入ります。

不動産会社には、宅地建物取引業の従事者5人に対して1人以上の宅建士を事業所に置かなければならないという「宅地建物取引士の設置義務」があります。

従業員全員が宅建士の資格を持っているわけではないため、宅建士の保有者は不動産業への転職に有利になります。

女性が転職する場合、不動産の営業職は土日が休みでないうえに、繁忙期はかなり忙しいです。

家庭持ちの女性の場合、転職先の残業時間や仕事内容には特に注意が必要です。

宅地建物取引士の試験

宅建士の合格率は約15~18%くらいです。

日商簿記や証券外務員に比べると難易度は高めですが、独学でも合格の狙える資格といえます。

【おすすめ資格その4】ファイナンシャルプランナー

おすすめ資格の4つめは私うりぼうの持っているファイナンシャルプランナー資格です。

ファイナンシャルプランナー(FP)は、顧客の資産に関する情報を分析し、ライフイベントに沿って資金計画を立て、資産設計のアドバイスを行う仕事です。

資格の種類は国家資格の1級FP技能士、2級FP技能士、3級FP技能士と、日本FP協会が認定する民間資格のAFP、CFPがあります。

私が保有しているのは日本FP協会のCFPです。

FP資格を持つ人の活躍の場は、金融機関や不動産会社に勤務する企業系と、私のように開業する独立系に分かれます。

ファイナンシャルプランナーの資格

国家資格と民間資格の関係はややわかりにくいので、ここでは全部の説明は割愛します。

就職にプラスになるのは2級FP技能士からです。

2級FP技能士の合格率はおよそ50%から60%です。

2級FP技能士の合格者が日本FP協会の指定教育機関の「AFP認定研修」を修了するとAFPに認定されます。

ファイナンシャルプランナーの資格を生かした転職

一般的にFP資格は金融業界や不動産業界の転職に役立つといわれています。

ただし、FP資格には宅建士のような独占業務がありません。

ゆえにFP資格があるからといって必ず採用されるというわけではありません。

そのため、「FP資格は全く役に立たない」という人もいます。

しかし、「FP資格者優遇」などと記されている求人も多数あるも事実です。

できればFP資格単独より宅建士などと合わせて取得することで、より転職がしやすくなるでしょう。

比較的新しくできたため、今後より活躍のフィールドが広がることが期待できる資格です。

【おすすめ資格その5】介護職員初任者研修

少子高齢化で、人手が不足している介護業界。

実は資格なしでも仕事内容によっては就労は可能です。

けれども、資格があったほうが収入や待遇の面で有利と言えます。

まずは以前のホームヘルパー2級にあたる介護職員初任者研修を取得しましょう。

介護職員初任者研修の資格の取り方

介護職員初任者研修を取得するには、通信講座などで130時間の講習を受ける必要があります。

最後に筆記試験に合格すると、修了となります。

筆記試験は講習を振り返るような内容でそれほど難しいものではありません。

介護職員初任者研修の終了後、実務者研修を経て、介護の実務経験3年の後には、国家資格である「介護福祉士」の受験資格を得ることができます。

介護職員初任者研修修了後の転職

介護職員初任者研修の修了後は、有資格者として介護業界で働くことができます。

人手不足のため、パートの時給も正社員の月給も高めです。

もちろん給料だけでなく、職場の雰囲気や働きやすさなどから自分に合った職場を選びましょう。

コロナ禍でも介護のニーズは決してなくなることはなく、安定して働くことのできる資格です。

【おすすめ資格その6】登録販売者

「登録販売者」とは2009年に新設された、医薬品を販売できる公的な資格です。

医薬品の販売というと薬剤師がありますが、薬剤師との仕事の違いは次の通りです。

  • 調剤業務ができない
  • 「第一類医薬品」の販売はできない

登録販売者の職場はドラッグストアや、医薬品を販売しているホームセンターなどの量販店です。

登録販売者の資格の取り方

登録販売者になるには、各都道府県で実施される試験に合格し、都道府県知事の登録を受ける必要があります。

登録販売者試験は各都道府県ごとに行われるため、試験内容や合格率はバラバラです。

ちなみに2020年の東京都の登録販売者試験の合格率は33.0%でした。

受験にあたっては通信講座なども充実してきているので、十分一発合格を目指せる資格といえます。

目指すは「店舗管理者」

登録販売者の受験には実務経験は不要ですし、就業にあたっても実務経験は問われません。

ただし、薬品を販売するお店で登録販売者が単独で売り場に立つには「管理者要件」を満たす必要があります。

管理者要件とは、次のいずれかを満たすことです。

  • 過去5年間において、1カ月に80時間以上を通算して2年以上勤務した場合
  • 過去5年間において、月当たりの時間数に関わらず月単位で勤務した期間が通算して2年以上あり、かつ合計1,920時間以上勤務した場合

この管理者要件を満たすことで、店舗ごとに1人の設置が義務付けられている「店舗管理者」になることもできます。

管理者要件を満たさない登録販売者の場合、給料はそれほど良くありません。

けれども、実務経験を積んで管理者要件を満たした場合は、収入もアップします。

ドラッグストア業界は競争が激しく、勤め先が業績不振になる可能性もあるといえます。

しかし、ドラッグストア全体がなくなることはありえませんので、仕事が全くなくなる心配はほぼないでしょう。

【おすすめ資格その7】CADオペレーター

建設業界などでモノの設計や図面を、コンピューターで利用できる形にするのがCADオペレーターの仕事です。

CADオペレーターは建設業や製造業が活躍の場であるため、男性の仕事というイメージがあるかもしれません。

しかし、ほとんどPCでのデスクワークであること、正社員からフリーランスまでさまざまな働き方が選べることなどから、女性に適した仕事だといえます。

CADオペレーターになるには

CADオペレーターの仕事は資格がないとできないものではありません。

どちらかというと資格よりスキルが大事です。

CADオペレーターのスキルとは、CADソフトを使いこなすことです。

未経験でも資格を取ることは、スキルの証明になります。

よって、実務経験なしでCADオペレーターに転職する場合、資格を取っておくことは有利です。

CADオペレーターの資格

CADオペレーターの資格はたくさんあります。

転職に有利になるのはCAD利用技術者試験などです。

CAD利用技術者試験とは、CADに関する知識やスキルを明確化して評価するための試験です。

CAD利用技術者試験は次のように分かれています。

  • 2次元CAD利用技術者試験基礎
  • 2次元CAD利用技術者試験1級(建築)、1級(機械)、1級(トレース)、2級
  • 3次元CAD利用技術者試験1級、準1級、2級

最初は2次元CAD利用技術者試験基礎を目指し、その後上級資格を受験することになります。

独学で受験する人もいますが、全くの初心者の場合、スクールや通信講座でカリキュラムに沿って学んだほうが効率がいいでしょう。

CADオペレーターの転職

CADオペレーターとして職を探す場合、一般的な職の探し方の他、CADオペレーター専門の求人サイトの利用もあります。

またCADのスクールの中には、検定合格後に仕事を紹介してくれる場合もあります。

CADオペレーターの働き方はさまざまで、スキルがあれば在宅勤務も可能です。

さらに、CADを活用する業界が建築業、製造業からアパレル業界などにも広っています。

その点からもCADオペレーターは将来性のある仕事といえます。

【まとめ】将来有望な資格を取って転職を成功させよう

コロナ禍で企業の業績や生活様式が変わり、女性の転職はより安定した仕事に就くことに重きが置かれるようになりました。

そのための資格取得は有効であり、転職の成功に役立つと言えます。

この記事を参考に興味のある資格について調べ、勉強を始めてみてください。

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