会社員が確定申告でトクする税金対策3選
この記事のポイント
  • 年末調整できなかった所得控除や、確定申告以外で申請できない控除がある場合は確定申告をすべき。
  • コロナ禍のテレワークでWiFi環境整備などに使ったお金は控除の対象にできる場合もある。
  • 扶養控除は控除額も高く、同居していない親も対象にできるため積極的に活用したい。

こんにちは、うりぼうです!

会社勤めをしていると所得税は会社が源泉徴収してくれるし、年末調整もあるので、確定申告をして税金を取り戻そうという人はあまりいないのではないでしょうか。

でも、金額は少なくても本来払わなくてもいい税金が戻ってくれば、手元に残るお金はそれだけ増えることになります。

この記事では会社員でもできる節税のテクニックをご紹介します。

所得税計算の流れ

最初に、所得税の計算の流れを簡単に解説します。

  1. 1.その年の額面給与から給与所得控除を差し引く
  2. 2.さらに所得控除を差し引き、所得税額を計算する
  3. 3.求めた税額から税額控除を差し引く

給与所得控除

給与所得控除は給与から無条件に一定額差し引かれる控除のことです。

給与所得控除は、会社員の業務に必要なスーツなどにかかる経費を考慮したシステムだと考えられています。

この給与所得があるため、会社員には勤務にかかる経費が認められない仕組みになっているのです。

所得控除

所得控除とは、給与以外の収入について「ある一定の条件を満たした場合の控除」のことです。

例えば「扶養控除」や「医療費控除」、「生命保険料控除」などがあります。

所得から差し引く所得控除が多くなれば、所得税計算のもとになる所得金額は少なくなります。

税額控除

所得税額を計算して求められた所得税額から直接差し引ける控除です。

例としては、住宅ローン残高のある人が利用できる「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」が税額控除になります。

税金を直に減らすため、所得控除よりも節税効果の高い控除です。

確定申告で税金を取り戻そう

利用できる控除がある場合、確定申告すれば所得税が戻ってきます。

所得控除や税額控除が多くなればそれだけ所得税を減らすことができるというわけです。

さらに確定申告の内容をもとに住民税が計算されるため、翌年の住民税が安くなる効果もあります。

【会社員の税金対策①】会社員の経費「特定支出控除」

会社員などの給与所得者にはる給与所得控除があるため、自営業者のような必要経費が認められません。

「特定支出控除」は会社員でも一定の条件を満たす必要経費が控除される制度です。

特定支出控除の対象となる支出とは?

特定支出控除の対象となる支出は次のようなものです。

  1. 通常の通勤費
  2. 転勤時の転居費用
  3. 業務に関わる研修費
  4. 業務に必要な資格取得費
  5. 単身赴任者の帰宅費用
  6. 業務に関する図書の購入費
  7. 業務に関する衣服の購入費
  8. 業務に関する交際費

(上記6〜8については合計65万円以内)

会社が負担した分以外の費用なので該当する支出がない人も多く、実際にほとんど使われていない控除です。

コロナで増えたテレワークにかかる支出はどうなるの?

従来、あまり使われていなかった特定支出控除ですが、2020年は新型コロナウィルス感染拡大によるテレワークのための支出には使えるのでしょうか。

結論から言うと、自宅でのテレワークのためにパソコンを購入したり、WiFi環境を整えるための費用を自己負担した場合、その支出は特定支出控除として認められる可能性が高いです。

ただし、支出額が貴人を満たす場合に限られますので、以下にて該当するか確認してみてください。

特定支出控除の計算方法

特定支出控除が適用されるのは、その年の特定支出の額の合計額が給与所得控除の額の1/2を上回る場合になります。

例えば、給与収入500万円の人の給与所得控除額は154万円です。

154万円の1/2は77万円です。

このケースでは対象となる支出が77万円以上ないと適用されないため、テレワークのために自己負担した支出があっても所得税は戻ってこないことになります。

特定支出控除が適用されるケースについて見ていきます。

<前提条件>

給与収入:500万(給与所得控除 154万)
税率:20%
特定支出額合計額:100万円

<計算方法>

給与所得控除の1/2 = 154万 × 1/2 = 77万円
100万円 > 77万円 ⇒ 特定支出控除適用

100万円-77万円=23万円が特定支出控除の額となります。

所得税の節税額は4.6万円です。

特定支出控除がある場合の確定申告のやり方

特定支出控除を受けるためには、確定申告が必要です。

申告時には、領収書と会社からの特定支出であることの証明書を添付しなくてはなりません。

あまり使いやすい制度ではありませんが、該当するなら申告して税金を取り戻しましょう。

【サラリーマンの税金対策②】医療費控除

確定申告で会社員にも当てはまることが多いのが「医療費控除」です。

現在、医療費控除には2つの種類がありますが、今回は従来からある医療費控除について解説します。

医療費控除

従来のの医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が10万円を超えた場合に受けることができる制度です(控除額の上限は200万円)。

医療費控除は同一生計の親族の分を合計して申告することができます。

家族1人ずつの医療費は10万円を超えなくても、家族全員分なら超える可能性も高くなります。

病院や薬局の領収書を世帯で1年分保管しておくようにしましょう。

医療費控除で節税できる金額は?

医療費控除の金額は、次のように求められます。

控除額 = 実際に支払った医療費の合計額 - 10万円(その年の総所得が200万円未満の場合は総所得金額の5%) - 保険や出産育児一時金などで補填された金額

<前提条件>

給与収入:500万
税率:20%
年間医療費:25万円

<計算方法>

【医療費25万円】-10万円 = 控除対象額15万円
節税額 = 15万円 × 20% = 3万円

【サラリーマンの税金対策③】親を扶養に入れて所得税を節税

知らない人も多いので裏ワザ的な税金対策に、「扶養控除」を活用した節税があります。

扶養というと配偶者や子どもというイメージがありますが、条件を満たせば親も扶養に入ることができます。

つまり、独身者でも条件を満たせば扶養控除で節税することが可能です。

しかも、必ずしも同居している親である必要はありません。

親が扶養親族になるための要件

扶養親族の要件は、次の通りです。

  • 年間の合計所得が48万円以下であること
  • 扶養する人と生計を一にしていること

「生計を一にする」とは、「同居」を意味しているのではありません。

別居していても、生活費や医療費などを仕送りしている場合は当てはまります。

仕送り額の目安は年額で約38万円以上といわれています。

親を扶養に入れたときの節税額

親を扶養に入れた場合の所得税の扶養控除額

親の年齢 控除額
70歳未満 38万円
70歳以上(同居) 58万円
70歳以上(別居) 48万円

(例)同居の母親がいる場合

<前提条件>

  • 給与収入:500万
  • 税率:20%
  • 母親:72歳

<計算>

控除額 = 58万円
節税額 = 58万円 × 20% = 11.6万円

会社員でも確定申告で節税しよう

確定申告で税金を取り戻すことは、個人に認められた権利です。

たとえわずかな金額でも確定申告をして所得税が戻ってくれば、住民税を減らすことにもつながります。

確定申告を毎年の習慣にして継続していくと、さらに大きな経済効果が期待できます。

会社員にとって確定申告は面倒なものですが、チャレンジしてみてください。

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