
iDeCoのメリットで一番大きいのが「掛金が全額所得控除になる」こと。
つまり、節税になるということです。
ところが、収入のない専業主婦にはこのiDeCoの節税メリットがありません。
そのため、加入しても意味がないのではとお考えなら、ちょっと待ってください。
確かに掛金が所得控除になるのはiDeCoの大きな魅力です。
でも、節税にならないからといってiDeCoに加入しないのはちょっともったいないのです。
今回はあまり意識されないiDeCoのメリットについてお伝えします。
公的年金は将来が約束されていない
年金制度について100年安心」という言葉が使われるのを聞いたことがありませんか?

先生、公的年金は100年安心なんですか?

恵子さん、100年制度が続くという意味では安心かもしれないわね。
平成16年の年金制度改革で政府は年金制度を維持していくために年金保険料の引き上げと年金の給付抑制が決められました。
このような形で年金の財政検証をして、現状維持が困難だとわかれば今後も保険料の負担増と年金の給付抑制をしながら年金制度は続けていくことになるでしょう。
年金の財政というのは全国民共通の財布のようなもの。
お財布のお金が足りないとなれば、みんなで足りないお金を出し合い、受け取る金額は少しで我慢するしかないということになります。
だから、私たち現役世代も年金を全く受け取れないというわけではありません。
ただ、公的年金はみんなのお金なので、将来いくらもらえるかはその時になってみないとわからない、ということなのです。
国は年金制度は世代間の助け合いだ、と言います。
だから、自分の分け前が減ることに不満を持つべきではない、という理屈のようです。
iDeCo(確定拠出年金)の資産は加入者固有の財産です!
ところが、公的年金が全加入者共通の財布であるのに対し、iDeCoを含め確定拠出年金は加入者1人に1つの財布で管理していきます。
つまり、iDeCoの加入者個人個人の資産は個別に管理されるので、公的年金のように財政難によって減額されるようなことはありません。
これは「運用は加入者の自己責任で運用した結果が掛金を下回ることもありえる」というiDeCoのデメリットを軽く吹き飛ばすストロングポイントだと思います。
運用に失敗して元本割れする可能性はありますが、外部環境によって加入者の積立金が減らされることはありえません。
企業型確定拠出年金に加入している人の会社が倒産しても関係ありません。
また、各資産はそれぞれのセーフティーネットによって保護されますので、金融機関の破たんの影響もありません。
さらに確定拠出年金の財産は差押え禁止財産であり、自己破産をした場合も60歳を過ぎたら受け取れることになっています。
あまり大きな声では言えませんが、専業主婦が夫のお金でiDeCoの積立てをして離婚したとしても、受給する権利は保証されています(年金分割などよりよほどメリットがあると思います)。
公的年金は受け取る前に亡くなれば独身の場合、本当に払い損になります。
今までの掛金は誰かの年金として支払われてしまいます。
iDeCoでは積み立てた資産は遺族の方が全額受け取れます。
まさにあなたのためのあなただけの財産なのです。
たとえ専業主婦でiDeCoに加入して節税にならなくても自分のために守られた年金であれば積み立てる価値はあると思いませんか?
まとめ
公的年金は実質的には破綻しています。
iDeCoという制度は公的年金だけで老後の生活ができないことに対する国からの補償のようなものだと思います。
ただし、どんなに給付が削られても公的年金は生きている限り受け取れるものなので、保険料を払わないということはすべきではありません。
公的年金とiDeCoのような自助努力は両方必要だということです。